村山古道補修 20年その11 道迷い

 前項《山古道補修 20年その10 土嚢積みとロープ張り》(9月26日)、午後の作業の移動中に、われわれの現在位置が分からなくなった。
 緩い下りで、初めはいやにくねくねしているなという感じはあったが、路面に洗掘もなく落ち葉のしたの足裏の感触もしっかりしている。 はっきり異変に気づいたのは、倒木が多いことである。
 
 新しい倒木ではない。腐敗が進んでいるので、簡単に押し倒せる、切り落とせる。
 そもそも5月15日に登ったときにこんなに倒木はなかった。
 ここでこの日、初めてスマホのGeographica を覗いてみる。電波状態が悪いせいか地図画面は出ないが、標高は1158メートルと表示されている。
 標高から考えると大淵林道から吉原林道の間、3分の1ほど下っているが、村山古道から東に逸れていることは分かる。われわれの目的地は、前項で述べた出来損ないの水切りであるから、下り過ぎている。
 引き返そう!
 道に迷う、という表現は論理的ではない。自分の現在位置が確認できない、というべきであろう。
 自分の現在位置が確認できないときには、確信の持てる所まで引き返す。どんなに厳しい登りかえしであろうとも、ここだと確信できるところまで引き返すというのが原則であり、気力が必要である。
 今回は10分も登り返すと、ちょうど左手の高さに、見覚えのある登山道の凹みが見えてきた。
 改めて引き返してきたルートを振り返ってみると、道迷いの原因は一目瞭然である。

 正しい道は、2本の倒木を跨いで右側に下って落ち葉に埋もれている道である。
 ところがわれわれは、倒木に幻惑され、落ち葉のうえに残るかすかな踏み跡につられて、左下に迷い込んでしまったのである。落ち葉がなければ引きずり込まれることはなかったであろう。
 
 ともあれ、正規ルートの落ち葉は掃き出して路面が見えるようにし、迷い道入り口には枯れ枝を積んで通せんぼ、先ほどの残りのロープ10メートルを張ってだめ押しとした。
 いまどきここを下ってくる登山者はいないであろうが、これで迷わないで済むだろう。

 

 この写真で見ると、この辺り一帯は自然林のように見えるが、じつは高値で売れる有用木はことごとく伐採・搬出されたあとの放置林である。縦横に作業道が交差しているなかに村山古道が細々と繋がっているといったほうがいいであろう。