寒の最中に梅雨前線!!

 けさ6時の現況天気図をご覧いただきたい(http://www.jma.go.jp/jp/g3/)。

  本州の東海上1500キロにある低気圧から西に伸びる前線は、本州南岸沖を通って台湾近くまで及び、さらに華南の内陸部にまで達している。日付を隠せば、これは梅雨期の天気図だと言われても違和感を持たないだろう。
 これが今週末から来週後半までつづく雨の正体である。
 寒の最中に梅雨が来た!
 ちなみに、23 18:00UTC JAN 2020 の太平洋域天気図、すなわちけさ2時現在の広域天気図(http://www.jma.go.jp/jp/g3/asia.html?area=jp&time=20012406)もながめてみよう。

  中心示度1044ヘクトパスカルのシベリア高気圧は台湾のすぐ北まで張り出してはいる。しかし太平洋高気圧はというと北緯30度近くまで北上、緯度でいうと台湾より北に鎮座している。
  もともとの気象学教科書によれば、この時期、太平洋高気圧はもっと南、亜熱帯で英気を養っているはずであった。春になるとこの太平洋高気圧が北に向かうことになる。そうはさせないと冬の王者シベリア高気圧が抵抗する。そのときの押しくら饅頭が、春から夏のあいだに起きる梅雨である。
  ちょっと古い話になる。
 もともと雪国として雪に慣れていたはずの北陸地方を中心に、大きな被害が出たサンパチ豪雪というのをご存じだろうか。
《1962年(昭和37年)のクリスマス付近を境に、まとまって降り出した雪は翌1963年(昭和38年)には本格的な大雪となった。気温が平年より3℃前後も低い異常低温となり、日本海側では日照時間の短さが加わり、降雪のほとんどが融けずに蓄積することになった。豪雪の中心は新潟県・北陸地方から西の日本海側であった。寒波は1月末頃ピークを迎え、長岡市や福井市など、北陸地方の都市部でも積雪が2m以上に達した。》(https://ja.wikipedia.org/wiki/
 このときの極東天気図をながめてみよう(http://agora.ex.nii.ac.jp/)。

 さきに示したけさの太平洋域天気図によく似ているなあと感心しないで、等圧線と各所の観測地点に描かれている矢羽根の向きに注目していただきたい。
 シベリア高気圧からの吹き出しが、華南どころか台湾の南東海上、さらにフィリピン海域にまで及んでいることが分かる。中心示度が高いだけでなく、範囲が桁違いに広い。
 いっぽう太平洋高気圧はどうかというと、フィリピンのはるか東4000キロかなたの海上に鎮座している。日本の冬など、われ関せず焉という態度である。もともと、北半球が冬の時期の太平洋高気圧の定位置はここであった。
 サンパチ豪雪の原因として当時ささやかれた原因は、地球の中緯度付近を流れている偏西風の南北蛇行が大きかったためということであった。そのころはまだ地球温暖化という危機感は薄かったように思う。
  ここ10年来気になっていたことがある。
 むかしはフィリピンの東の海、赤道付近に熱帯低圧部といわれる場所があり、台風の産屋とされていた。そこで生まれた熱帯低気圧は西に向かい、フィリピン近海で台風となって北上、じっくり発達しながら日本付近に到達するものとされていた。
 ところがいつの間にか、梅雨明けを告げる太平洋高気圧の張り出しと同時に、そのすぐ南側にその熱帯低圧部がくっいてきていて、ぽこぽこ台風を打ち出すようになったのである。至近距離だから進路が予想できない、2個3個と複数だから動きが複雑になる、気温差が大きいのでいきなり発達するという傾向が強まったようである。
 今回の寒中梅雨前線はその伝でいうと、冬の間はフィリピンの東でおとなしくしていたはずの太平洋高気圧が、緯度でいうと20度も北上してしまった結果ではないか。
 3月下旬ともなれば、菜種前線・菜種梅雨という現象は昔から知られていた。季語にもなっている。ただしこれは移動性高気圧の谷間に通過するもので、気圧配置の構造が原因ではない。
 これからのお天気判断は、長期的な地球温暖化の影響を加味しながら考えていかなくてはならないようである。嗚呼!