オールコック余聞  『大君の都』の誤訳を正す 余分

 9月いっぱいでコロナ戒厳令が解除され、函南町立図書館も余所者の入館が可能になったが、職員以外には滞在時間の規制が残った。

 それでもまあいい。蔵書の規模・傾向をつかんでおきたいし、なにより職員の閲覧者に対する当たり〔サービス精神と訓練度合い〕を調べておくのも無駄ではないと、10月9日(土)に立ち寄ることにした。
 幸いコロナ禁酒法も解除されたので、ご存じ花月に行ってみたいが、朝飲み・昼飲みというわけにはいかない。17時開店である。それまで富士宮市立中央図書館で時間を潰すことにして、その前に函南町立図書館に立ち寄ればいい。お得意の図書館梯子巡りである。
 ただし開館が9:30 とかなりゆっくりしているので、出発が、富士宮直行にくらべて1時間は遅くなる。
 わが住む小田急・六会駅下り線ホームの最後尾に立って、寝ぼけ眼を前方に向ける。上り線ホームが10メートルほど藤沢駅寄りにずれているので、線路を隔てて目の前は土手、草茫々である。
 太陽の位置が低いのでまだ日陰、見えにくいが、薄紫の小さな花が咲いている。
 線路に下りて跨いで見に行くわけにはいかない。
 腕時計を見ると、電車の発車時刻まで5分はある。
 ホーム中央まで歩いてエスカレーターを歩いて上り、コンコースを渡って階段を下り、またホームを端まで歩いて、フェンスの隙間から覗いてみる。

 紛れもなく、ツリガネニンジンである。
  富士山からお帰りのオールコック猊下には、藤沢宿通過のおりにぜひとも見せて上げたかったなあ。
 肝心の函南町立図書館の首尾はどうだったかって?
「資料の宝庫ですね」と呟いたら、案内してくれた職員は胸をそらしたように見えた。
 そのことはまた別の機会に。