村山古道巡視 20年その1

 私のパソコンには「富士山」というフォルダーがあって、5月10日現在2676個のファイルが保存されている。昼夜を問わず、富士山関係の記事や事件があれば追加していくのでどんどん膨らんでいくのだが、先日「コロナ感染 富士山を呑み込む」というファイルを建てると増加がほぼとまった。新しい富士山関係記事がほとんどここに分類されてしまい、発表時系列で並べている。
  富士山の最新情勢はどうだろう。
《長崎幸太郎知事と富士北麓の7市町村長は23日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「大型連休中、観光・レジャー目的での富士北麓地域への来訪はお断りします」とする共同宣言を発表した。》(2020年4月24日付 山梨日日新聞)
《川勝平太知事は22日、「東京は危ないから静岡にでも行こうという人は止めないといけない」と語り、「5合目以上は山小屋を閉じてもらう方向になっている。『富士山に来ても登れませんよ』というメッセージを全国に出したい」と述べた。》(朝日新聞デジタル>2020年4月24日 10時30分)
  ふむふむ、ゴールデンウイークは外れているし、われわれには村山古道の安全確認というの目的もあるので、山梨・静岡両県知事の逆鱗に触れることはあるまい。

 某月某日、5:00気象庁のレーダー・ナウキャストを見ると、富士山の南斜面にポツンと雨雲があるが間もなく消えそうだ。東名を走っていると青空が広がってきて真っ白な富士山が現れた。御殿場で沼津ナンバーのレンタカーに乗り換えて東富士演習場を通りすぎる。2月の野焼きから3か月、両側の新緑が萌え上がっている。雪の縁がくっきりしている、昨夜の豪雨は富士山でも雨だったようだ。

 村山古道最奥の民家、鯛津家の畑越しに富士山が招いている。
 村山古道に入ると、まだ早春である。
 
 六辻の草は芽生えたばかり。

 これは去年の7月16日の写真。日当たりがいいので、放っておくと開山のときには背
丈を超える草むらになる。
「しの字杉」も健在で、村山古道の路面はずっとどこまでも安定している。
 10年ほど前はこの辺り一帯は間伐がおこなわれており、雨のたびに作業道から大量の水が流れこんで路面を洗い、足許の岩をむき出しにしていた。土嚢を積んで流れをせきとめ水切り造り。冬になれば霜柱が幾重にも立って土を持ち上げ、春になれば土が崩れて岩を隠してくれた。雨に叩かれ多くの人が踏み固めてくれた結果である。
 しかし、北井久保林道を過ぎて札打場のすぐ下、村山古道をブル道が横切るところに来て、びっくりした。ブル道が4メートル幅に拡幅されている。
 
 この写真の手前側、左から右へと村山古道が横切っていたはずである。
 昨年6月、ブル道を流れてきたゴミがダムとなり、左下の村山古道に流れ落ちるようになっていた。
 
 瓦礫の上に土嚢を積んで、さらに丸太で補強した。

 さらに、ブル道の中央を雨水が流れ下るよう、村山古道が横切る下まで導水の溝を掘っておいた。

 ところがいまみると、村山古道の下側の路面が盛り上げてある。

 ここを堤防にして雨水を手前右下の村山古道に流し込もうという設計である。
 札打場で昼食にして出発して間もなく、自然石が階段状になっていて、高みに上がるはずの石段が崩れている。先ほどの作業道は迂回して、この先に延びているらしい。

 この写真の右下の丸太が散乱している窪みが村山古道の登り道である。
 このすぐ上には、土嚢12俵を積んで補強した水切りを造っておいたのだが跡形もない。村山古道に雨水が流れこむことになるだろう。

 さらにそのすぐ上には土嚢47俵を積んだ水切りを造って万全の構えの積もりであった。土嚢の上の丸太と落ち葉は登山者向けのアピールで、土嚢が破れるので上がらないでくれという意味である。

 両側にはね除けられた土嚢や丸太が、その位置を示している。
 新しい作業道を造るにあたって、手作業ではとても削れないような、大がかりな水切りも造られている。

 ズブズブとこの泥沼を歩くわけにはいかない。
 しかし、雨が降れば地面は固くなるし、足場を選んで歩けばいい。とりあえずは右側の土手の上を伝って行くことにしようか。
 この日われわれはこのすぐ上の「ゴミ捨て林道の終点」まで行って引き返した。
 そこから天照教までの間は数年前に大規模な間伐が行われている。当初は枝付きの丸太を村山古道めがけて伐り倒してあるので、通過できない場所もあった。しかし間もなく間伐材は片づけられ、新しくできた水切りも安定してきて歩きやすくなった。熔岩流むき出しの谷渓と化した場所にも、少しずつ新しい土が溜まりはじめている。
 こんどできた新しい作業道も、連休が明ければ間もなく間伐材の搬出も終わるだろう。少しずつ安定化への歩みをはじめるだろう。スズタケが全滅した林床にも日光が差し込めば、新たな下生えも期待できる。

 人が歩いている限り、村山古道は少しずつ鍛えられ成長していく。

コメント

畠堀操八様
毎年、夏山シーズン前の何回もの道普請、お疲れ様です。
今年は大雨などでのダメージが強かったのではないかと案じておりましたが、ブルドーザーによって村山古道が破壊されていたのですね。その道幅に驚いています。
雨水が村山古道に流れ込まないようにしておく、大変な作業と思います。
夏までにまだ何度か通って作業を進めなくてはなりませんね。
毎年の、毎回のメンテナンスが村山古道を守り、人が歩くことで村山古道が育って行くのでしょう。
考察力と、体力と気力が必要な大変な作業と思いますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。