乱丁 その5 『静岡新聞』の記事入れ替え

 SHIZUOKAKENRITSUCHUUOUTOSHOKANREKISHIBUNKAJYOUHOUSENTAー、しずおかけんりつちゅうおうとしょかんれきしぶんかじょうほうせんたー、ポンと変換してもまだ長い、静岡県立中央図書館歴史文化情報センターには、明治以降、静岡県内で発行された各種新聞が保存されている。といっても原紙ではなく、マイクロフィルムからA3サイズに出力したものを縢り(かがり)綴じクロス装したものである。頑丈である。

 これをたとえば『静岡新聞・プリント製本版』と呼ぶことにしよう。
 これは一見冊子のように見えるが、4ページとか8ページの単位で機械印刷されて製本したものではない。いわば1ページずつ表だけ刷って(コピーして)綴じたものなので、乱丁のスタイルが変わってくる。
 たとえば『静岡新聞・プリント製本版』(Vol.20)には昭和22年9月7日付『静岡新聞』が保存されていて、第2面の上端に「古老も驚く精進湖の減水」という記事がある。

 しかしこの記事は『静岡新聞・プリント製本版』の昭和22年9月7日付第1面と8日付第1面の間に綴じられていたものではない。ちなみに、戦争が終わって2年経っても新聞用紙はGHQの統制下におかれて夕刊は発行されておらず、朝刊だけ、それも1日分2ページしかなかった。
 なんとこの記事は、22年8月21日付第1面と8月22日付第1面の間に収まっていたのである。なぜ月替わりの2週間以上も前に挟まっていたか経緯は分からない。

 なぜこういう製本ミスが発生したのか追及のしようもないが、なぜこのような製本ミスが発覚したのか、有り体を言えばこうだ。
 富士山関係の記事を探すときには日付など気にしないで、記事見出しに注意を払って紙面に目を走らせる。頭のなかのキーワード群が一つでも反応すると注視する。見出しだけで判定できないときは、本分中の地名などを探して判断する。記事の中身まで読み込んでいくことはほとんどない。付箋を挟む。そして次のページに移る。1冊終わりまで行ったときまとめてコピーを撮る。
 大事なのはコピーを撮りっぱなしにしないことだ。
 昔の新聞印刷のばあい、1ページごと組み上げられた大組みの枠外に位置する日付はぶつけられたり古い活字を抜いて流用したりするので、凹んだり歪んだりしていることがままあってきれいに印刷されないことが多い。

 このばあいもご覧の通りで、「■和廿二年九■七日」と、判読できない文字がある。
 もう一つ落とし穴がある。
 このようなプリント製版本は紙面のいちばん上、つまり天の部分が綴じてある。このためにコピーするとき、ガラス面に原稿を押しつける力が弱いと、喉側がガラス面から浮いた状態になるので、大組みの枠外の日付部分がコピーされないことになる。

 A3の上質紙で10センチ近い厚さになると、1冊で7キロを超える。
 コピーしない側半分がべろーんとガラス面の外にはみ出すので、これを左手で支え、光の走査線がガラス面を通過するタイミングに合わせて、コピーする部分に置いた右腕に全体重を掛けるのだが、草臥れてくると浮いたりずれたりする。
 だからコピーが終わったら必ず、日付や面数が判読できるかどうか確認しなくてはならない。

 これはマイクロフィルムからプリントアウトするばあいも同じで、必ず1ページずつコピー面が読めるかどうか、日付は判読できるかどうか確認しておかないと、あとで出典として使い物にならなくなる事態が起きる(経験者だから語る)。
 というわけで、この「精進湖の減水」記事をチェックしたときも、前後のページをめくって日付を確認したのだが、エッ! 9月7日らしいがなぜ8月21日の所に挟まっているんだ。
 念のためにと確かめてみると、8月21日付第2面の記事は、9月7日の第2面の位置に収まっているではないか。

 これは単純な入れ替えだから簡単だが、なぜこういうミスを犯したのかを論理的に説明することはむずかしい。
 いっそのこと、三つ巴四つ巴に挟み間違えていたら、複雑なゲームになるかもしれない。
 

コメント

富士山に関するデータベースを作成するための作業をなさっていつもお疲れ様です。
知的作業と思ってはおりますが、
1冊7坩幣紊發△訥屬犬燭發里鬟灰圈爾垢襪覆鵑董△爐靴軻体労働と言った方が良いでしょうか。
筋肉痛にお気をつけくださいませ。

  • ムラヤマフジコちゃん
  • 2020/07/29 16:45