村山古道補修 20年その6 ビーバーダム

  すでに《村山古道補修 20年その3》(5月23日)で報告したように、前富士山麓山の村・緑陰広場から上の村山古道が洗掘によって沢登り状態になっていたので、溝道の底を歩くことは諦めて左(西)の高みを新ルートとして提案しておいた。
 さらに大淵林道から中宮八幡堂のあいだの登山道の惨状についても報告しておいた。ここは窪地の底を村山古道が通っているので、雨水の逃がしようがないので、ダム式の水切りにして、少しずつ流れればいいなと考えていた。

 左が昨年6月22日に補修した写真、右が今年5月15日の状態である。
 これまでは土嚢の高さまで土砂がたまって、それ以上流れてくると越流していたのだが、去年の秋から今年の春にかけて鉄砲水が発生して、土嚢ごとごっそり押し流してしまったようだ。
 現在この部分がどんな状態になっているか、下から上へと順に見ていこう。

 この3枚の写真は、左から右へと登っていく。
 
 そしてこの2枚の右が最上部、ここで1メートル近い落差の滝になったようだ。
 ちょろちょろ流れでできたものではなく、おそらく1雨か2雨で抉られたものであろう。
  ではこの水はどこからきたのか。
 
 右奥の明るいところは中宮八幡堂跡の広場で、右の村山古道を登っていくと数歩で小高い丘になる。こちらから水は流れてこない。
 問題になるのは左の土道である。そのむかし植林のための作業道だったかも知れない。
 どうやらこの土道に、左奥に大きく広がる窪地の水が集まってくるようだ。これまで植林いらい数十年間、一度も間伐されないできた薄暗い檜林であった。景観はともかく、それなりの保水力があったものが、このたびの伐採で一挙に失われたようである。
 この写真では分かりにくいが、左斜面に横たわっている苔蒸した倒木の向こうに、斜めの土道がある。これは鹿道で、地面の削られ方から見て、かなりの水量がここから落ちていることがわかる。
 よし! ここにビーバーダムを造ろう。
 この辺に石はない。ダム本体の材料になる倒木は幾らでも転がっている。
 水は、右手(東)の高みを掘りさげて排水路を造り、50メートル下を流れる日沢 (にっさわ)に直接流し込む。

 右の高み(この写真では左手になる)は長年の森林の林床で柔らかい土である。石や熔岩塊はいっさい含まれていない。
その代わり、木の根が縦横に走っていてスコップの刃先が深く刺さらない。鋸を地面に差し込んでは引いてみる、の繰り返しである。表面10センチを切れば、それより深い場所に障害物はない。
 ともかくできあがった。

 土嚢を並べて枯れ木が置いてあるのは、排水路の縁を踏んづけて崩さないでほしいというおまじないである。
 さてこの木製のダムと排水路は、水切りとして有効な働きをするだろうか。
 村山でもこの部分は旧来の溝道は放棄して、高みに新しい通路を造ろうという意見もある。次に想像以上の豪雨がきてこのビーバーダムを、一気に押し流してしまうかも知れない。

 しばらく様子をみることにしよう。

 

 これまで見てきた標高500〜1000メートル、村山から天照教本社までに広がるの民有林の間伐には節度というものがあった。
 なかには枝付きの丸太を村山古道に向けて切り倒すので、登山者が迂回を余儀なくされることもあった。切り落とした小枝を整理しないまま林内に放置するので、山中至るところにゴミの山ができ、これが窪地にたまる。大雨が降ればこれがダムになり決壊して鉄砲水になって暴れ沢となるということもあった。
 しかしこれは現場監督の癖(作業センス)のようなものであって、傷は浅い。山全体・森林全体には、山を保全し森を育てようという山林地主・所有者の強い意思が貫かれていて、歩いていればそれを感じ取ることができる。
 ところが天照教林道から富士山麓山の村までの間伐、西臼塚駐車場から東へずっと大淵林道沿いにつづく間伐の跡を眺めると、まるでガリバーが大きな犂(すき)で田圃の粗起こしをやったような感じがする。表土は雨のたびに垂れ流し放題である。

 こういった森林管理についての思想の差はどこから出てくるのだろう。
 こういうやり方を繰り返していると、村山の農家の人たちが心配するように、“山の形が変わる”のである。

コメント

今までに増しての補修、お疲れ様でした。
ビーバーのように木を重ねてダムを造ったのですね。
どうかこのダムが威力を発揮しますように。

その土地を管理する人の思想が山を歩いていて感じられる。分かります。(街中でも同じことが言えると思います。)

下の方は代々続く個人の所有者。
上は数年ごとに管理責任者が代わる国有林。
そんな差が管理のセンスにも表れるのでしょうか。

コロナで京都聖護院富士山峯入り修行はなくなりましたが、補修は続けなければならないのですね。
本当にお疲れ様で、どうも有り難うございます。

  • ムラヤマフジコちゃん
  • 2020/08/19 11:19