村山古道補修 20年その10 土嚢積みとロープ張り

  9月6日(日)、「一生に一度」出合えるかどうかという鳴り物入りの台風10号はとつぜん消滅、特別警報は出されることがなかった。
 翌週9月13日(日)は停滞前線に向かって熱帯低気圧が突っ込むという予想だったが、レーダー画像で観察している限りでは、富士山近辺はお湿りていどだったようだ。
 3週間も連続して放置するわけにもいかない。気象庁に悪態をついてばかりではなにもすすまないので、9月20日(日)は雷雨予報のなかを出発した。
 クルマは水ケ塚から雲のなか、フロントガラスに水滴が付きはじめた。天気予報当たりかな。
 西臼塚駐車場には、フジアザミが1株ある。これはわたしが知る限りでは、富士山の最南端に生える先駆者である。
 
 左は昨年7月7日の写真で、まだ花茎はない。右が今回の写真で株はいちだんと雄々しくなり、丈はまだ短いが花が着いている。初めてのことである。
 雨着を着て、大淵林道から村山古道にはいって向かったのはビーバーダムである(8月18日の《村山古道補修 20年その6 ビーバーダム》参照)。気象庁狼少年村のご託宣によれば、この水切り造りのあと1〜2回は豪雨の洗礼を受けているはずである。
 近づいてみると、落ち葉が積もっている以外に変化はない。


 日沢への排水路はと覗いてみると、10センチほどの水流痕は見えるが、ザーッと雨水が流れた形跡はない。ダムで防ぎとめるほどの豪雨はなかったということである。
 それでも次の豪雨に備えてたっぷり補強はしておいた。

  左は今年8月13日に造ったばかりの写真で、右が1か月後の姿。ダム手前の貯水部分と日沢に流し落とす排水路を掘り下げ、ダム本体に土をべったり貼りつけておいた。

 

 汗をかいたので雨着は脱ぎ、そのあとはしばらく骨休み。空身で中宮八幡堂の上まで行った。
 炭焼き釜跡から日沢に下る坂道が崩落しはじめたので、さらに上に造られた新しい下りコースにトラロープを張っておいた。

 20メートルをダブルにして、結び瘤をつくってある。
 50メートルロープの余り、10メートルが後で 役立つことになる。
 引き返しはじめると大粒の雨が降りはじめた。次に目指すのは、鉄砲水で流されてしまった土嚢ダム(5月23日《村山古道巡視 20年その3》参照)。
 右(西)側の窪地には草が密生し始めたので、雨水の流入は心配するほどでもなさそうだ。この下の登山道を洗掘している雨水の主力は、先ほどのビーバーダムから流れ下る鉄砲水と考えていいだろう。
 ではここに高さ1メートルの頑丈なダムを造って、左手(東側)の草地から日沢まで排水路を掘ってはどうか。

 ダム本体はなんとかなるとしても、1メートルも掘り下げた溝を何十メートルも延ばすわけにはいくまい。ユンボでも持ってくればできるが、人力では不可能である。
 ともかく、この下側の登山路の洗掘をこれ以上悪化させないために、土砂と水をここにためることにしよう。
 幸いここはこれまで何年もかかって土砂が堆積しているので、土嚢の中身は幾らでもある。

 もちろんスコップでは断ち切れない、太い根っ子も出てくる。これは鋸で地球を切っている気分である。

 新しいダムを造る位置は、流された白い土嚢の2メートル上手。まずここに幅一五センチ・深さ10センチほど横切るように掘りこむ。ここに土嚢を置く、のではなく、縦に突き落とすのである。

 袋の入り口は下になるから、詰め込まれた土砂には逃げ場がない。
 横に11俵列べると溝道ぜんたいが塞がるので、さらにこんどはその上側に土嚢を突き落として密着させる。合計22枚を使うことになった。

 暑いので雨着を脱いで作業していたら、雨はやんだ。

 さらに土嚢と土嚢の隙間に土砂を詰め込んで、枯れ枝でおまじないを飾って踏まれないようにした。
 気がついたら登山道をかんぜんに塞いでしまったので、右の檜の外側に通路を造ってようやく完成。

 午後はまず、大淵林道のすぐ下、不動沢熔岩流が村山古道を横切って、右から左へと迂回して窪地になっているところ。

 ここは右下に排水路を掘り下げればそれで済むのだが、左下に続く村山古道が傾斜を増して長い水路に育っていく危険性があるので、あえて土嚢2俵を積んで予防措置とした。
 本日の最後の作業は、ここからさらに15分ほど、水平に近い坂を下っていくと、右上から下ってくる古い作業道が合流する場所がある。

 これは今年5月15日に、下から登ってきたときの写真。 右上に行くのが村山古道、左に折れ曲がっているのが古い作業道である。みすぼらしい壊れかけた水切りは、数年前に造りかけて土嚢袋不足と疲労のため中途で終わった残骸である。
 この地点で登山道の洗掘はみられないが、ここから下は延々数百メートルもこんな緩い坂道が下っている。雨が降ったときに水の逃げ場がどこにもない。まずここで雨水にストップをかけなくてはならない。

  幸いこの一帯は腐葉土の堆積地だから仕事は簡単である。ときおり細い木の根が横切っているが、瓦礫も岩もない。左下に流す排水路を掘って、その土で土嚢10俵ができる。それを横べたに列べて完了である。
 ここから西臼塚駐車場に引き返すのに30分もかからない。

コメント

なんという重労働をなさったことでしょう。お疲れ様でした。
雨が降ってできる水の流れを変える。大自然との策略、格闘のようですね。
「地球を切っている」。普通はなかなか経験できない気分、同時に相当な体力も必要でしょうね。

西臼塚駐車場でフジアザミの大群落が見られるようになる!? さて、何年後?

  • ムラヤマフジコちゃん
  • 2020/10/01 12:30