地形図に見る乙女高原自然観察路の不可解


5月12日(土)山梨県は乙女高原に登った。6月に入れば予約バスが焼山峠まで上がってくれるのだが混雑もするだろうというので、1回乗車200円という山梨市営バスで洞雲寺まで行き、そこから歩いた。ウスバシロチョウが舞いラショウモンカズラとイチリンソウが並んで咲いている焼山林道を2時間弱、乙女高原自然観察路入り口から登山道になる。
元は伐木造林用に造られた作業道であろうか、地形に逆らわない緩いカーブで傾斜は一定である。間もなくベンチのある小さな峠を越えて、ゆったり広い谷の左岸を斜めに登るようになる。地形図ではこの峠から稜線を登っていくことになるが、この斜行道のゆるい傾斜は、こちらが正しい登山道だと主張している。緑といえば沢沿いに点々と跋扈するハシリドコロ、稜線を見上げるとミツバツツジのピンク。ここから上はまだ春の入り口である。


標高1450メートルぐらいだろうか水流を2回跨ぐところに、ベンチが2基ある。脇に乾燥したヌタ場があり、荒れてはいるが正しい登山道であることは間違いない。
しだいに路面が悪くなる。雪解け水や豪雨が凹みに流れ込んで土砂を流して石ころが残り、冬には霜柱が立って持ち上げるので文字通り浮き石になる。その上に去年の落ち葉が積もったままなので足の踏み場がない。
乙女高原の樹冠が見えてくると傾斜がきつくなり、凹み道は分からなくなり、草地に古い踏み跡が現れたり消えたりするようになる。浮き石を嫌った登山者が、高みにルートを採ったものであろう。かつて杣人たちが寝泊まりし、焚き火を繰り返したのであろうか、消し炭が広く散乱している。
葉先が裂けているのでエイザンスミレか。花も蕾もないが一面に広がっているほか、丸い葉・ハート形の葉・細長い葉、さまざまなスミレが葉っぱだけを覗かせていて、踏まずに歩くのがむずかしい。1〜2週間後に来たらどんな光景になるだろう。
下りは浮き石を避けようと、地図をよく見て左岸稜線ルートを下ろうとしたが、どうしても沢筋に下りてしまう。ジグザグの付け方は、登山者が造った路ではなく作業道である。ただしこちらは、倒木や浮き石の状態から考えて、ここ4〜5年はだれも通っていない。やむなく途中から沢筋の浮き石道を下る。3時間前に通過したヌタ場が新しく掘り返されている。鹿か猪か、すぐ近くでわれわれの通過を待っていたかもしれない。


ここに示した地図は国土地理院1:25000地形図「川浦」(平成元年発行)で、赤線はわれわれの歩いた経路をGPSデータでなぞったものである。地図に記載されている観察路が30年前に存在していたことは確かだとしても、では、現在残っている踏み跡やベンチはいつ造られ、いつ荒廃したのであろうか。